第99回東京箱根間往復関東大学対校駅伝競走(1月2~3日)

花田勝彦監督が想定(設定)した総合タイムは、10時間53分30秒だった。結果は、10時間55分21秒。1区がスローペースになり、想定より1分30秒遅かった「想定外」を除くと、217.1キロ走って、誤差は、わずか21秒。ピタリ「想定通り」ということは、チームとして、100%の力を発揮したということになる。加えて、往路・復路・総合ともに早稲田新記録だから、昨年、失速した「史上最速チーム」を完全に乗り越えた真の「史上最速チーム」の誕生といえる。

これまで、苦戦しつづけた「山」で、上りの伊藤大志が区間6位、下りの北村光が区間3位と健闘したことが、いい流れをつくった。山の上下あわせて、区間順位が1ケタだったのは、2008年以来のことだ(84回大会、駒野亮太5区区間賞、加藤創大6区区間賞)。

それでも、優勝した駒大とは、およそ8分の差がある(昨年、優勝の青山学院とは、12分)。100%の力を出し切っても、勝てないのなら、120%の力を身につけるしかない。20%分の成長をいかにして達成していくのか、今後の課題だろう。今回、4年生が2人しか走っていないので、チームの伸びしろは十分、期待も大である。(扉の写真は、箱根湯本駅前を疾走する北村)

●1区(21.3キロ)
<チーム通過順位・個人区間記録>
1位 明 大(富田峻平)1時間02分44秒
2位 駒 大(円 健介)1時間02分53秒
<新田 颯(関東学生連合・育英大)1時間02分59秒(参考記録)>
3位 法 大(松永 怜)1時間03分00秒
4位 中 大(溜池一太)1時間03分02秒
5位 創価大(横山魁哉)1時間03分02秒
14位 早 大(間瀬田純平=スポ科1・鳥栖工業)1時間03分23秒


ラスト勝負で後れをとったが、終始、落ち着いた走りで(14位とはいえ)上位と差のないタイムで、石塚につないだ。

●2区(23.1キロ)
<チーム通過順位>
1位 中 大
2位 駒 大
3位 青山学院
4位 山梨学院
5位 東京国際
14位 早 大

<個人区間順位>
1位 吉居大和(中大)1時間06分22秒
2位 近藤幸太郎(青山学院)1時間06分24秒
3位 田澤 簾(駒大)1時間06分34秒
10位 石塚陽士(教2・早実)1時間08分05秒


各校のエースひしめく2区を任された石塚。7分台半ばの記録が欲しかったが、重責は果たした。

●3区(21.4キロ)
<チーム通過順位>
1位 中 大
2位 駒 大
3位 青山学院
4位 國學院大
5位 早 大

<個人区間記録>
1位 中野翔太(中 大)1時間01分51秒
2位 篠原倖太郎(駒大)1時間01分58秒
2位 井川龍人(スポ科4・九州学院)1時間01分58秒


最後の箱根で、完全覚醒した井川。9人抜きで、シード権確保の「救世主」となった。旭化成入社後は、高校の1年先輩で、昨季大ブレイクしたヤクルトの「村神様」(村上宗隆)ならぬ、井川龍人から井川龍神に変身して、国際舞台での活躍を期待したい。

●4区(20.9キロ)
<チーム通過順位>
1位 駒 大
2位 青山学院
3位 中 大
4位 東京国際
5位 國學院
6位 早 大
<個人区間順位>
1位 イェゴン・ヴィンセント(東京国際)1時間00分00秒(区間新)
2位 太田蒼生(青山学院)1時間00分35秒
3位 鈴木芽吹(駒 大)1時間01分00秒
6位 佐藤航希(スポ科3・宮崎日大)1時間02分18秒


追いすがる法大・扇育、明大・尾崎健斗を引き離しにかかる佐藤。

●5区(21.8キロ)
<往路順位>
1位 駒 大 5時間23分10秒
2位 中 大 5時間23分40秒
3位 青山学院 5時間25分13秒
4位 國學院 5時間27分10秒
5位 早 大5時間27分33秒
6位 順 大 5時間27分41秒

<個人区間記録>
1位 山本唯翔(帝京大)1時間10分04秒(区間新)
2位 四釜峻佑(東海大)1時間10分19秒(区間新)
3位 阿部陽樹(中 大)1時間10分36秒
6位 伊藤大志(スポ科2・佐久長聖)1時間11分49秒

●6区(20.8キロ)
<チーム通過順位>
1位 駒 大
2位 中 大
3位 早 大
4位 國學院
5位 法 大
<個人区間記録>
1位 伊藤蒼唯(駒大)58分22秒
2位 若林陽大(中大)58分39秒
3位 北村 光(スポ科3・樹徳高)58分秒58秒


北村の快走は、「シード権獲得」にプレッシャーのかかる7区以降の選手たちに、勇気を与えた。

●7区(20.8キロ)
<チーム通過順位>
1位 駒 大
2位 中 大
3位 國學院
4位 早 大
5位 創価大

<個人区間順位>
1位 葛西 潤(創価大)1時間02分43秒
1位 杉彩文海(明大)1時間02分43秒
3位 浅井晧貴(順大)1時間03分04秒
12位 鈴木創士(スポ科4・浜松日体)1時間04分12秒

感染明けの鈴木は、頭を丸めて「反省走」。しかし、いや、やっぱり「強い鈴木」は影をひそめ、不本意な結果に終わった。

●8区(21.4キロ)
<チーム通過順位>
1位 駒 大
2位 中 大
3位 國學院
4位 早 大
5位 法 大

<個人区間記録>
1位 宗像直輝(法大)1時間04分16秒
1位 大本大地(東洋大)1時間04分16秒
3位 平 駿介(順大)1時間04分17秒
10位 伊福陽太(政経2・洛南高)1時間05分20秒


駅伝デビューの伊福は、前半抑え気味にひったが、終盤の難関「遊行寺の坂」を難なく上り切った。アンカーの菅野雄太とともに、一般入試組が、2年生時点で(高速駅伝を)2人も走るとは、まさに「叩き上げる努力」の成果だ。

●9区(23.1キロ)
<チーム通過順位>
1位 駒 大
2位 中 大
3位 青山学院
4位 創価大
5位 法 大
6位 早 大

<個人区間記録>
1位 岸本大紀(青山学院)1時間07分27秒(区間新)
2位 緒方貴典(創価大)1時間08分23秒
3位 山野 力(駒 大)1時間08分26秒
9位 菖蒲敦司(スポ科3・西京高)1時間09分12秒


来期キャプテンとしては、もう少し上位の記録をマークしたかった。

●10区(23.0キロ)

<復路順位>
1位 駒 大 5時間24分01秒
2位 中 大 5時間25分13秒
3位 法 大 5時間26分35秒
4位 創価大 5時間26分40秒
5位 順 大 5時間27分37秒
6位 早 大 5時間27分48秒
<総合順位>
1位 駒 大 10時間47分11秒
2位 中 大 10時間48分53秒
3位 青山学院10時間54分25秒
4位 國學院 10時間55分01秒
5位 順 大 10時間55分18秒
6位 早 大 10時間55分21秒
7位 法 大 10時間55分26秒
8位 創価大 10時間55分55秒
9位 城西大 10時間58分22秒
10位 東洋大 10時間58分26秒

<個人区間記録>
1位 西澤侑真(順大)1時間08分42秒
2位 青柿 響(駒大)1時間09分18秒
3位 助川拓海(青山学院)1時間09分27秒
10位 菅野雄太(教2・西武文理)1時間10分06秒

初陣で、大舞台のアンカーを任されたプレッシャーをものともせず、粘り強い走りをみせた。

2023-01-15