まずは、立大の復活を素直に喜びたい。上野裕一郎監督は100回大会での本選出場を目指していたようだが、1年早く目標を達成。お見事としか言いようがない。思い起こせば、私の学生時代は、中大、日大の全盛期だった。しかし、山登りだけは、立大の浜崎真造が(区間賞、僅差の区間3位、区間賞)と、山の神(当時、そんな言葉はなかったが)の座を占めていたのだ。「こんな選手が早大にいたらなあ」と「ない物ねだり」したことを思い出す。立大に、また名選手が出てくるのか、楽しみではある。
さて、早大だ。7月24日に行われた「士別ハーフマラソン」で、63分09秒の自己新を叩き出したル-キー山口智規と4年生エース井川龍人が上位入線でタイムを稼ぎ、明大とトップ争いをするだろうと予想していた。ところが、「稼ぎ役」の山口が思わぬアクシデントで、結果は4位。1年生だけにメンタル面のダメージが心配だが、ストレスを抱えず、箱根に照準を合わせて、がんばってほしいと願うばかりだ。問題は、山口が「下がってきた、そして、下がっていった」のを見ていたはずの安田博登、菖蒲敦司などの上級生が、山口の「ロス分」をカバーできなかったことだ。駅伝はチームプレー!
ただし、光明は見えてきた。井川の好走そして安定感、キャプテン鈴木創士の完全復活、そしてなにより特筆すべきは、これまで、伊勢、箱根で結果を出せなかった佐藤航希の健闘だ。粘り強く走り、ラストでキャプテンを振り切った気迫には、「必ずリベンジを果たすぞ」の思いがこもっていた。
忘れてならないのは、本選出場を果たした10校は、箱根で11番目以降の「格付け」に過ぎないことだ。ハーフ62分台超が「うじゃうじゃ」いる箱根上位校はこんなレベルではない。伊勢を助走として、箱根まで、より高みを目指して進化し続けていってほしい。
(於:陸上自衛隊立川駐屯地ー立川市街地ー国営昭和記念公園コース)扉の写真は、佐藤航希。
<チーム順位>
1位 大東文化:10時間40分39秒
2位 明 大:10時間41分41秒
3位 城西大:10時間42分09秒
4位 早 大:10時間42分29秒
5位 日体大:10時間43分34秒
6位 立 大:10時間46分18秒
7位 山梨学院:10時間46分55秒
8位 専 大:10時間46分56秒
9位 東海大:10時間47分03秒
10位 国士館:10時間48分55秒
<個人順位>
1着 ワンジク・チャールズカマウ(武蔵野学院)60分58秒
2着 ジョセフ・ラジニ(拓大)61分50秒
3着 ネルソン・マンデラ・ンビディ(桜美林大)62分03秒
8着 木村暁仁(専大)62分32秒(日本人トップ)
9着 井川龍人(スポ科4・九州学院)62分39秒(自己新)
伏兵、木村に出し抜かれた格好だが、安定してきた井川本来の走りは頼もしいかぎりだ。
16着 佐藤航希(スポ科3・宮崎日大)63分05秒(自己新)
17着 鈴木創士(スポ科4・浜松日体)63分07秒(自己新)
完全復活を遂げたキャプテン鈴木(写真右)を相手に一歩も引かなかった佐藤の上昇ぶりに、いやでも伊勢での活躍を期待する。
39着 伊藤大志(スポ科2・佐久長聖)63分49秒
終盤上げられなかったのは気になるが、伊藤は予定通り上位で入選し、予選会通過に十分貢献した。
51着 石塚陽士(教2・早実)64分02秒(自己新)
慎重な入りで、拾うレースに徹した石塚はしっかり役割を果たした。
96着 菅野雄太(教2・西武文理)64分41秒
まずまずの走りとはいえ、菅野には63分台がほしかった。それだけ期待値の高い一般入試組だ。
114着 間瀬田純平(スポ科1・鳥栖工業)64分50秒(自己新)
初ハーフの間瀬田、距離不安を克服しての好走といえるだろう。
125着 諸富 湧(文3・洛南高)64分58秒(自己新)
130着 北村 光(スポ科3・樹徳高)65分03秒(自己新)
中盤まで、100位以内につけていたが、粘り切れなかった北村(諸富の写真は撮れず)。
217着 安田博登(スポ科4・市立船橋)66分15秒
安田は、中盤以降粘れず、ジリジリと後退。
257着 菖蒲敦司(スポ科3・西京高)66分52秒
菖蒲には、距離の壁があるのだろうか、ハーフではなかなか結果を出せない。
289着 山口智規(スポ科1・学法石川)67分23秒
おそらく意識はなかったのだろう。ゴール前、最後のカーブで、曲がらず直進したため(左の写真)、競技役員から「もっと左に」と促される。