29日、区間エントリーが発表された。オーダーを見ると、あくまで狙いは総合優勝だということがよくわかる。往路に4年生「四羽烏」を配し、まずは往路優勝の「お膳立て」はしっかり整った。
藤原の1区は意外だったが、よほど調子がいいのだろう。ここがうまく滑り出せば、潤滑油の効いた歯車がかみあい、回転数をどんどん上げていくだろう。層は薄いが質は高い。低い下馬評を覆すだけのオーダーが組める状態になったことだけは確かだ。あとは各選手がベストパフォーマンスをするだけ。これまでの駅伝で一つもとれなかった区間賞を複数区間とれそうな区間配置で、期待は高まるばかりだ。
勝負にはなぜか運がつきまとう。しかし、運は待つものではない。「運」は「運ぶ」もの。駅伝選手はチームの「勝ち運」を運ぶ飛脚のようなものだ。そして、その動きを「運動」という。もちろんこじつけだが、今年の選手はまじめすぎるきらいがあるから、リラックスして「運」を運んでいる飛脚くらいの気持ちで走ってほしい。それが本来の駅伝の意味ではないかとも思う。まあ、飛脚でなく、クロネコやペリカンをイメージしてもいいが、ペリカンは遅いか。
<1区>藤原滋記(スポ科4・西脇工業)
これまでトラックでもロードでも完全燃焼の走りを見せていない。最後の舞台で「封印されていた(はずの)才能」が一気に開く。
<2区>太田智樹(スポ科2・浜松日体)
今シーズンは成長しつづけた「太田の季節」だったと言えるだろう。エース区間を永山から奪い取ったからには、他校のエースに気後れすることなく、積極かつ冷静な走りをしてほしい。
<3区>光延 誠(スポ科4・鳥栖工業)
ロードでなかなか結果を残せなかったが、このままでは終わらない。4年間走り込んできた光延に距離の不安など少しもない。気合の空回りだけは避けたいところだ。
<4区>石田康幸(商4・浜松日体)
石田の走りが往路優勝のカギになるだろう。安定感ピカ一だが、さらに爆発力に磨きをかけ、競技生活最後となるレースを区間賞で締めくくりたい。
<5区>安井雄一(スポ科4・市立船橋)
経験からいっても、ここは区間賞で往路優勝に花を添える。責任感の強いキャプテンだけに、気負わず出雲のような走りをすれば、結果は上々となるはずだ。
<6区>渕田拓臣(スポ科1・桂高)
下りの「スペシャリスト養成学校」の優等生。公式戦での実績はないが、下る力は文句なし!の声が聞こえる。
<7区>永山博基(スポ科3・鹿児島実業)
往路のエース区間を走らないのは、まだ完調ではないからか。とはいえ、調子は当日まで上げられるものだ。ここは区間賞で復路の流れをつくりたい。
<8区>吉田 匠(スポ科1・洛南高)
力はあるものの伊勢、上尾と凡走がつづいているため、ここはエントリー変更(谷口あるいは新迫)も考えられる。
<9区>宍倉健浩(スポ科1・早実)
急仕上げの伊勢は思わぬ苦戦を強いられたが、関東学連10000m記録挑戦会の動きは悪くなかった。気迫の走りがはまるか、それとも上級生(谷口あるいは新迫)が走るか。
<10区>河合祐哉(スポ科4・時習館)
コツコツと距離を積み重ね、「ゆっくり成長した力はたくましい」のだ。ムラのあるのが唯一心配。
六大学、関東インカレは1500mでエンジを着た谷口耕一郎(スポ科4・福大大濠)だけに、距離の不安がつきまとった。しかし、上尾で見事にその不安を払拭し、以後、好調を伝えられる。
渕田だけではない。小澤直人(スポ科3・草津東)も山下り「スペシャリスト養成学校」の優等生。当日、どちらが走るのか注目しよう。
清水歓太(スポ科3・群馬中央中等)は今シーズン、足踏み状態がつづき、成長度に不満があるが、前回のリベンジに燃えないわけはない。再びの10区登場で、新キャプテンの存在感を示すか。
とっておきの控え選手・新迫志希(スポ科2・世羅高)は復路のキーマン。往路の順位いかんで使いどころは決まるのだろう。
やっと箱根に間に合った大木皓太(スポ科2・成田高)は磨きのかかった走りで出番を待つ。
長い距離に適性をみせる遠藤宏夢(商2・國學院久我山)、泥臭い走りは早稲田の箱根にはピッタリだ。