スタートで2強が出遅れ、早大にとっては、願ってもない混戦となった。しかし、その混戦にまったく絡めず、2区からジリジリと、3区からはズルズルと後退。6区永山博基、8区石田康幸が前との差を詰めたとはいえ、それもささやかな抵抗にしかならず、ふがいない結果に終わった。8つの区間賞を8校の選手が1区ずつ分け合うという前代未聞の展開では、上位に食い込むチャンスは十分にあった。ロードで無類の強さを見せる鈴木健吾を除けば、優勝した神奈川大学と力の差はまったくなかったはずだ。チャンスの後ろ髪をつかめなかった理由はなにか。
個々のことより、まだ長い距離で、記録も実績も残せていない1年生を走らせるという状況をつくってしまった上級生に少なからず責任はあるだろう。層の薄いチームだからこそ、選手一人ひとりがコンディションを整え、万全の態勢でレースを迎えなければならないのに!である。心配なのは「負けグセ」。負けグセというのはなかなか厄介で、闘争心の低下だけでなく「ここはムリしないでいこう」と意識せずに安全策を選択してしまうものなのだ。しかし、今のワセダには安全策こそ落とし穴。逆に「ムリをしないと」勝てないという現実を冷静に受け止め、ムリにムリを重ね、ムリムリでも強くなる努力をしてほしい。
練習とトレーニングとは違う。練習の練は「案を練る」という使い方があるように、いろいろ工夫をこらして考えること。練習の習は何度も繰り返して行うこと。箱根まで、試行錯誤の時間はないかもしれない。それでも、考え、悩み、苦しみ、それを繰り返すことによって学んでいくしかないだろう。
最後の箱根で一冠を奪い取るという初心が失せたら、それこそ一巻の終わりだ。まだまだ、がんばれるぞ。走れ!早稲田魂。
(扉の写真は上位校が走り去った後、石田のさびしい一人旅)
<1区>14.6キロ
●チーム通過順位(個人区間順位)
1位 東洋大 43分24秒(相澤 晃)
2位 駒 大 43分25秒(片西 景)
3位 早 大 43分28秒(太田智樹・スポ科2・浜松日体)
4位 神 大 43分29秒(山藤篤司)
<2区>13.2キロ
●チーム通過順位
1位 東洋大 1時間21分53秒
2位 駒 大 1時間22分06秒
3位 神 大 1時間22分25秒
4位 早 大 1時間22分28秒
●個人区間記録
1位 田村和希(青山学院)38分04秒
2位 渡邉奏太(東洋大)38分29秒
3位 塩尻和也(順大)38分31秒
8位 安井雄一(スポ科4・市立船橋)39分00秒
<3区>9.5キロ
●チーム通過順位
1位 東洋大 1時間49分14秒
2位 東海大 1時間49分45秒
3位 駒 大 1時間49分54秒
4位 神 大 1時間49分59秒
5位 青山学院 1時間50分18秒
6位 早 大 1時間50分29秒
●個人区間順位
1位 館澤亨次(東海大)27分02秒
2位 佐藤敏也(法大)27分18秒
3位 西山和弥(東洋大)27分21秒
9位 新迫志希(スポ科2・世羅高)28分01秒
<4区>14.0キロ
●チーム通過順位
1位 東洋大 2時間29分25秒
2位 東海大 2時間30分27秒
3位 青山学院 2時間30分34秒
4位 神 大 2時間30分39秒
5位 駒 大 2時間30分40秒
6位 早 大 2時間31分52秒
●個人区間順位
1位 菅 真大(城西大)40分09秒
2位 山本修二(東洋大)40分11秒
3位 森田歩希(青山学院)40分16秒
13位 藤原滋記(スポ科4・西脇工業)41分23秒
<5区>11.6キロ
●チーム通過順位
1位 東洋大 3時間04分20秒
2位 神 大 3時間04分31秒
3位 東海大 3時間04分40秒
4位 青山学院 3時間05分23秒
8位 早 大 3時間07分59秒
●個人区間順位
1位 越川堅太(神大)33分52秒
2位 湊谷春起(東海大)34分13秒
3位 畔上和弥(帝京大)34分26秒
20位 宍倉健浩(商1・早実)36分07秒
<6区>12.3キロ
●チーム通過順位
1位 東海大 3時間40分38秒
2位 神 大 3時間40分39秒
3位 青山学院 3時間41分31秒
4位 東洋大 3時間41分49秒
5位 駒 大 3時間41分50秒
7位 早 大 3時間44分02秒
●個人区間順位
1位 堀合大輔(駒大)35分57秒
2位 國行麗生(東海大)35分58秒
3位 永山博基(スポ科3・鹿児島実業)36分03秒
4位 安田共貴(神大)36分08秒
<7区>11.9キロ
●チーム通過順位
1位 東海大 4時間15分08秒
2位 神 大 4時間15分25秒
3位 青山学院 4時間16分14秒
4位 駒 大 4時間16分39秒
7位 早 大 4時間19分57秒
●個人区間順位
1位 阿部弘輝(明大)34分08秒
2位 三上嵩人(東海大)34分30秒
3位 小野田勇次(青山学院)34分43秒
4位 大川一成(神大)34分34秒
15位 吉田 匠(スポ科1・洛南高)35分55秒
<8区>19.7キロ
●総合成績
1位 神奈川大学 5時間12分49秒
2位 東海大学 5時間14分07秒
3位 青山学院大学 5時間15分22秒
4位 駒澤大学 5時間15分59秒
5位 東洋大学 5時間16分27秒
6位 中央学院大学 5時間17分59秒
7位 早稲田大学 5時間19分08秒
●個人区間順位
1位 ドミニク・ニャイロ(山梨学院)57分06秒
2位 鈴木健吾(神大)57分24秒
3位 川端千都(東海大)58分59秒
4位 鈴木塁人(青山学院)59分08秒
6位 石田康幸(商4・浜松日体)59分11秒
初出場、皇学館大学のアンカー・平野恵太が皇學館大學前を通過。まるでゴールのような盛り上がりだった。ちなみに1917年、京都→東京・上野間で、東西2チームによる日本初の長距離対抗競走が行われた。そのレースに「駅伝」と名付けたのは、皇學館の館長・武田千代三郎だった。「駅伝」誕生から、今年でちょうど100年になる。