大学駅伝には「3冠は10年ごとにしかやってこない」というジンクスめいたものがある。だから、青学が3冠を達成するのは、10年早い、いや4年早い(かもしれない)。しかし、ジンクスは破られるためにあるのも確かだ。青学が自力でジンクスを破るのか。それとも、2011年、ジンクスどおり3冠を達成した早大が青学を下して、ジンクスを守るのか。ジンクスを巡る青学VS.早大の結果は、当然、誰にもわからない。ただ、ピーキングさえうまくいけば、早大は青学に勝てる力が十分にある。
(扉の写真:また、キャプテンのガッツポーズを見たい!)
よけいなことだが、勝手に(ということは勝つ手の)オーダー予想をしてみた。
1区:鈴木洋平(スポ科4・新居浜西) 心・技・体ともに充実。距離に自信を深めた今なら、どんな展開になっても対応できる。気合の入った走りは、後につづく選手たちに大きな力を与えるはずだ。
2区:武田凜太郎(スポ科4・早実) 出遅れたが、今や完全に上昇気流に乗っている。たとえ、他校エースと並走しても、負けない強さが備わってきた。
3区:平 和真(スポ科4・豊川工業)最終学年になって、5000m、10000m、ハーフの自己記録をすべて更新した。勢いのあるキャプテンが渾身の走りで、流れをワセダに引き寄せる。
1、2、3区と並んでいる? この3人でトップに立ち、ロード巧者のルーキーにつなぐ。
4区:太田智樹(スポ科1・浜松日体) 早稲田らしい泥臭さの残る走りには、ルーキーとは思えない安定感がある。東海大の1年生ばかりが注目されているが、早稲田の1年生は箱根で爆発するはずだ。
5区:安井雄一(スポ科3・市立船橋) 練習で強さを見せても、なかなか本番で力を発揮できなかった。いよいよ真価発揮のとき!「普通」に走れば、区間賞も狙える。優勝のカギを握る男といってもいいだろう。
太田(左)の粘り強い走りと伊勢からのリベンジを誓う安井に注目。
6区:新迫志希(スポ科1・世羅高)シロウトのカンにすぎないが、軽量を利して、一気に下る快速・新迫のイメージが浮かぶ。石田康幸(スポ科3・浜松日体)が準備しているといわれるが、両選手とも初陣ゆえに、上級生のほうが安心という考えもある。そうなると、新迫と太田は? 層が厚いゆえの悩ましい問題だ。
日体大・谷口浩美以来の、箱根の下りから「世界一」へ上る。
7区:佐藤 淳(スポ科4・愛知・明和高)昨年は急きょの6区起用だったが、今年は復路の重要な区間を走る。これほどレベルの高いなかで、井戸とともに一般入試組が2人も走るのは、早稲田ならではのことだ。
8区:藤原滋記(スポ科3・西脇工業)地味だが堅実な走り。優勝するためには、もう一皮むけてほしい。同期の光延誠(スポ科3・鳥栖工業)も黙って引き下がるわけにはいかない。
よくぞここまで仕上げてきた佐藤(右上)と藤原(右上)で復路も主導権を握りたい。光延(下)も虎視眈々と区間メンバー入りを狙う。
9区:井戸浩貴(商4・龍野高)初めて外された全日本の悔しさをバネに、どこまで調子を上げてくるか。昨年の記録を上回る区間賞を狙う! 混戦になったとき、頼りになる4年生がここに位置していることは、かなりのアドバンテージだ。
10区:永山博基(スポ科2・鹿児島実業) ハーフを走らなくても、長い距離を淡々とこなす才能の持ち主。上尾をパスして、ユニバーシアードのために10000mの大幅記録更新を狙い、予定どおり結果を出した。チームが、少々遅れていても、逃げていても、最後は永山がきっちり決める。
かつての駒大を思い起こさせる脅威の9区(井戸)、10区(永山)になるか。
ワセダが優勝を「惜しくも」逃したときは、9区あるいは10区で逆転されている。駒不足が原因だが、今年は駒野コーチがいるくらい駒の不足はない。ならば、念には念を入れ、9区、10区に「もったいない」ほど強力な選手を配置すれば、混戦になっても抜け出せるのではないか。
<エントリー選手>
箱田幸寛(スポ科4・世羅高)3年間、苦しみ抜き、4年になって、やっと高校時代の自己記録を更新(5000m)した。「早熟の遅咲き」選手。2011年優勝時の6区高野寛基を思い起こす一世一代の爆走なるか。
今井開智(スポ科4・桐光学院)高校時代の持ちタイムが15分20秒(5000m)を超える選手は全員が退部しているなか、ただ一人生き残った努力と粘りの選手。
清水歓太(スポ科2・群馬・中央中等教)上尾ハーフでようやく結果を出した。上記(勝手に)予想メンバーと入れ代わってもそん色ない力はある。
大木皓太(スポ科1・成田高)11月の10000m記録挑戦会では30分を切れなかったが、闘志と冷静さを併せ持つ山の要員として貴重な存在。
左上から時計回りに、箱田、今井、清水、大木。区間予想から外してごめんなさい。区間メンバーに入るべく、ここからが踏ん張りどころだ。