あくまでも優勝を目指した早大だったが、結果はほぼ「定位置」ともいえる4位を確保するにとどまった。
青山学院の凄さ、強さに脱帽しよう。長丁場になれば、早大も戦える! などというレベルではなかった。すべての選手が、Speed・Stamina・ Spiritを「標準装備」していたのだから、他の上位校が対抗しようにも、早東駒っただろうと思う。今年、青山の3冠達成は確実だと思っていた。しかし、伊勢を逃がしたことによって、青山にもスキがあると考えたのは、おそらく私だけではないだろう。
しかし、そのスキを寸分も見せなかったのが、箱根の青山だ。出雲、伊勢からさらに進化した姿・形を見せつけてくれた。それに比較して、早大は気持ちの空回りがなかったとはいえないだろう。しかし、敗因はただ一つ。1年かけての充実した(と思われた)練習も青山の領域に達するには、まだまだ不十分だったということだ。
記録会やハーフマラソンで、青山の選手たちが見せる気迫を見習ってほしい。たとえ力上位の選手がレースを引っ張っていても、誰もが臆せず、そのペースに必死で食らいついている姿は感動的ですらある。残念ながら、早大の選手にそれを感じたことはあまりない。自己記録を大きく更新することがほとんどないのは、そのためもあるのではないか。他校選手との力差を測るのに記録会は絶好のチャンスだ。練習だけでなく、他流試合で勝つ方法と勝つ味を覚えないかぎり、これだけレベルの高くなった駅伝では戦えないだろうと思う。
また1年、早大は宿題を抱えていくことになるが、どう仕上げてくれるのか、大いなる楽しみでもある。今年のチームは本当にいいチームだった。それでも勝てなかった。新4年生は、その良さを引き継ぎ、新たな工夫を加え、さらなる高みを目指し猛進していくだろう。やればできる。やらなきゃできない(当たり前か)。
<記録>
●1区(21.3キロ)
<チーム通過順位・個人区間順位>
1位 青山学院(久保田和真)1時間01分22秒
2位 明大(横手 健)1時間01分44秒
3位 拓大(金森寛人)1時間02分00秒
4位 中大(町澤大雅)1時間02分00秒
5位 早大(中村信一郎=スポ科4・高松工芸)1時間02分10秒
全日本の再現ならず。覚醒した中村には久保田にもっと食らいついてほしかった(品川駅前)。
●2区(23.1キロ)
<チーム通過順位>
1位 青山学院(2時間8分57秒)
2位 東洋大(22秒差)
3位 山梨学院(58秒差)
14位 早大(3分59秒差)
<個人区間順位>
1位 服部勇馬(東洋大)1時間07分04秒
2位 ドミニク・ニャイロ(山梨学院)1時間07分20秒
3位 一色恭志(青山学院)1時間07分35秒
17位 高田康暉(スポ科4・鹿児島実業)1時間10分46秒
仕上がりの遅れていた高田を出すべきではなかったという批判があるかもしれない。しかし、このチームは間違いなく高田が引っ張ってきたチームだ。高田を出さずに悔いを残すより、高田に賭ける選択のほうが正解だったと思う。敗戦の悔しさは、誰よりも本人が深く噛みしめているはずだ(保土ヶ谷駅前)。
●3区(21.4キロ)
<チーム通過順位>
1位 青山学院(3時間11分21秒)
2位 東洋大(1分35秒差)
3位 山梨学院(2分47秒差)
11位 早大(5分46秒差)
<個人区間順位>
1位 秋山雄飛(青山学院)1時間02分24秒
2位 中谷圭佑(駒大)1時間02分53秒
3位 服部弾馬(東洋大)1時間03分37秒
5位 武田凜太郎(スポ科3・早実)1時間04分11秒
余裕をもった走りで平塚駅南口入口を通過する武田。それでも、上位チームとの差は開く。
●4区(18.5キロ)
<チーム通過順位>
1位 青山学院(4時間06分38秒)
2位 東洋大(2分28秒差)
3位 山梨学院(3分34秒差)
7位 早大(6分23秒差)
<個人区間記録>
1位 田村和希(青山学院)55秒17秒
2位 石橋安孝(東海大)55秒42秒
3位 栃木 渡(順大)55分53秒
4位 永山博基(スポ科1・鹿児島実業)55分54秒
しっかりした走りを見せた永山。来期はよりスピードを磨き、主要区間での活躍が期待される(国府津駅前)
●5区(23.2キロ)
<チーム往路順位>
1位 青山学院(5時間25分55秒)
2位 東洋大(5時間28分59秒)
3位 駒大(5時間31分15秒)
4位 山梨学院(5時間33分24秒)
5位 早大(5時間34分17秒)
<個人区間順位>
1位 ダニエル・M・キトニー(日大)1時間18分24秒
2位 神野大地(青山学院)1時間19分17秒
3位 五郎谷俊(東洋大)1時間19分53秒
5位 安井雄一(スポ科2・市立船橋)1時間21分16秒
(5区には追いつけず、写真なし)
●6区(20.8キロ)
<個人区間順位>
1位 秋山清仁(日体大)58秒09(区間新)
2位 小野田勇次(青山学院)58秒31(区間タイ記録)
3位 樋口 陸(中央学院)58秒47
6位 佐藤 淳(スポ科3・愛知明和)1時間00分23秒
急きょのエントリー変更で、難しい区間をまかされた佐藤は動揺もせず、まずまずの記録で駆け下った(大平台ヘヤピンカーブの手前)。
●7区(21.3キロ)
<個人区間順位>
1位 小椋裕介(青山学院)1時間03分08秒
2位 櫻岡 駿(東洋大)1時間03分46秒
3位 牟田祐樹(明大)1時間03分58秒
14位 光延 誠(スポ科2・鳥栖工業)1時間06分13秒
光延はまさかの大苦戦(国府津駅前)。
●8区(21.4キロ)
<個人区間記順位>
1位 下田裕太(青山学院)1時間04分21秒
2位 馬場翔太(駒大)1時間05分22秒
3位 柳 利幸(教4・早大本庄)1時間05分29秒
3位 細谷恭平(中央学院)1時間05分29秒
上位を追って好走した柳。それでも青山・下田には1分以上開かれた(平塚駅入口)。
●9区(23.1キロ)
<個人区間順位>
1位 井戸浩貴(商3・龍野高)1時間09分47秒
2位 二岡康平(駒大)1時間09分49秒
3位 高木登志夫(東海大)1時間10分01秒
上位3校とは大きく差が開いたとはいえ、あきらめず前を追う井戸。唯一の区間賞で気を吐いた。振り返ってみれば、神奈川マラソンにはじまり、関東インカレ、上尾ハーフと、本番までに、ハーフの結果をしっかり残してきたのは井戸だけだった。箱根の道に到達するためには、好結果を積み重ねていくことが大事だということを物語ってはいないだろうか(神奈川新町駅前)。
●10区(23.0キロ)
<個人区間順位>
1位 渡邉利典(青山学院)1時間10分07秒
2位 作田直也(順大)1時間10分33秒
3位 渡辺一磨(東洋大)1時間10分40秒
6位 藤原滋記(スポ科2・西脇工業)1時間11分45秒
上り調子の藤原には10分台を期待したが(北品川駅前)。
<総合成績>
1位 青山学院大学 10時間53分25秒
(往路1位:5時間25分55秒/復路1位:5時間27分30秒)
2位 東洋大学 11時間00分36秒
(往路2位:5時間28分59秒/復路2位:5時間31分37秒)
3位 駒澤大学 11時間04分00秒
(往路3位:5時間31分15秒/復路3位:5時間32分45秒)
4位 早稲田大学 11時間07分54秒
(往路5位:5時間34分17秒/復路5位:5時間33分37秒)