正式な大会名を、秩父宮賜杯第47回全日本大学駅伝対校選手権大会 関東学生陸上競技連盟推薦校選考会という「寿限無」のような「予選会」が6月20日、慶應義塾大学日吉陸上競技場で行われた。
(早大は久しぶりの出場だけに、ちょっとご案内)この大会は、1組に各校2選手が出場し、4組8選手による総計タイムを競う「仕組み」だ(上位9校が「伊勢」の出場権を得る)。
早大は3組目まで、総計タイム1位だったが、最終組で28分31秒(潰滝大紀)、28分28秒(D・M・キトニー)を叩き出した中央学院、日大などに逆転され、4位に終わった。3組目までの記録が低調だったため、総合成績は最終組の記録に大きく左右された(たぶん、いつもこのパターン?)。それゆえ、エース級がそろう最終組で結果を出せかったのは、エンジにとって赤信号と言っていいだろう。しかし、失敗から学び、成長していくのが学生スポーツ本来の姿。悲観することは何もない。本番までの課題がくっきりと浮き彫りになっただけだ。課題を克服するための時間は十分ある。
トップ通過を期待され、選手たちも当然その意識で臨んだはずだ。ところが、全体的な「かけひき」に微妙な綾もあって「予選会慣れ」していない早大選手には、スローペースにどう対応するかも含めて、意外に!難しい大会だったかもしれない。記録だけ見ると、高田康暉の低調さが目立つ。自分のペースで走れば、こんな結果にならなかったのは確かだ。しかし、3組目で予選通過を確実にしたあとのレースにキャプテンが慎重な走りをするようでは逆に情けない。失速したとはいえ、5000mをあわや13分台かと思われるキトニーのハイペースに前半しっかりついていったのは「失敗」ではなく「実験」だ。実験結果がうまくいかなかった以上、自分の力を再分析し、練習方法などを検証し、次は、実験でなく成果としてパフォーマンスを見せてほしい。また、強い「ライバル」はこの先にもっといることも忘れてはならないだろう。
●総合記録
1位 中央学院 3時間58分58秒68
2位 日本大学 3時間59分19秒28
3位 神奈川大学 3時間59分23秒36
4位 早稲田大学 3時間59分40秒00
9位 國學院大学 4時間01分34秒76
<1組>
1着 柳 利幸(教4・早大本庄)29分56秒51
2着 畑中大輝(國學院)29分59秒02
3着 塩尻和也(順大)30分05秒57
7着 三井泰樹(人科4・山形東)30分16秒58
8800mで三井が遅れているのを確認するや、柳は一気にペースを上げ、後続を離しにかかる。好判断のレースで復帰戦を飾った。
三井の走りは少し硬いように見えた。しかし、7000mまでには先頭に立つなど、しっかりレースをつくり、7200mで落ちてからも、粘りを発揮した。
<2組>
1着 小松巧弥(日体大)30分00秒21
2着 濱野優太(専大)30分01秒69
3着 井上弘也(上武大)30分02秒71
4着 永山博基(スポ科1・鹿児島実業)30分03秒08(自己新)
11着 光延 誠(スポ科2・鳥栖工業)30分20秒81
再三「積極的なレースをお願いします」と場内アナウンスされるほどの超スローペース。8600mで永山が二度目のトップに立つと、光延は逆に後退。永山は逃げ切りをはかったが、ラスト勝負ではまだ分が悪く、4着のゴール。エース級の選手になるために、これから磨くべきはラストの切れ味だ。高田からしっかり学んでほしい。
6400mからは光延引っ張り、7000mでは上武大・井上が抜け出すなど、スローゆえに展開は目まぐるしく変わった。
<3組>
1着 我那覇和真(神大)29分38秒35
2着 石川颯馬(日大)29分39秒19
3着 シテキ・スタンレイ(東京国際大)29分39秒42
7着 安井雄一(スポ科2・市立船橋)29分47秒88
22着 中村信一郎(スポ科4・高松工芸)30分02秒42
*カメラの調子が悪く、いろいろいじっている間に、レースが終了。3組と4組は使える写真がありません。失礼しました。
<4組>
1着 ダニエル・ムイバ・キトニー(日大)28分28秒64
2着 潰滝大紀(中央学院)28分31秒84
3着 松枝博輝(順大)29分05秒71
8着 井戸浩貴(商3・龍野高)29分20秒24
28着 高田康暉(スポ科4・鹿児島実業)29分52秒48
4000mを11分12秒。ここまでは高田もキトニー、潰滝についていたが、ここから離され14分5秒の5000mでは15秒ほど差をつけられた。終盤は後続集団に飲み込まれ失速。一方、トップ集団(3選手)から大きく遅れた第2集団にいた井戸は最後までペースを落とすことなく、粘り切って8着。記録は不満だが、最低限の責任は果たした。