第91回東京箱根間往復大学駅伝競走(1月2・3日)

どの選手も、よほど「いい練習」を積み重ねてきたのだろう。
そして、箱根にぴったり合わせた「いい調整」ができたのだろう。
メンタルの強さ、明るさも際立ち、ただただ「おそれいりました」の青山学院だった。

駒大が10時間50分近くで走る「かもしれない」とは思ったが、青山学院は「快走」の連鎖反応を起こして、50分を切ってきた。たとえ、5区のアクシデントがなかったとしても、駒大は勝てなかった「かもしれない」。

原晋監督は、シャイで実に謙虚な人柄。あまりお目にかからないタイプのスポーツ指導者だと思う。そんな人から「すごい」選手たちが育ってきたのは、とても喜ばしいことだ。
選手たちも「勝って奢らず」ぜひ監督を見習ってほしい(というのも、まだゴールまで30キロ以上ある9区の沿道で、はしゃぎすぎた選手が、関係のない人たちに応援を強要して、少なからずひんしゅくを買っていたからだ。ついでに、おせっかいなことを言えば、女子の短距離選手がテレビの「お遊び」番組に、しばしば正式なユニホーム姿で出ているのは、とても軽薄に見える。そんなアピールをしなくても、この見事な優勝によって、青山学院陸上部の名声は全国に轟くのだから、学生競技者としての品格を落とさないでほしいと心から願う)。あーあ、ほんとにおせっかいだ。

青山学院があまりに強かったため、早大の選手は力を発揮できなかったかのような印象がある「かもしれない」。
しかし、山本修平の誤算を除けば、ほぼ全員が「今ある力」を発揮したのではないか。そのうえで、東洋大のスローガン「1秒を削り出せ」より厳しい「1分を削り出す」努力が必要になったということだ。青山学院のおかげで、いい目標ができたと考えればいい。

故障を抱えていた山本を走らせた監督の判断は、早大の事情を考えれば、間違いとは言えない。ただ、結果論で言えば、臼田稔宏にチャンスを与えてほしかったとも思う(まあ、個人的願望だが)。

駒大、明大、青山学院、東洋大、早大は「5強」と呼ばれていた。その5強の一角を「確保」した早大は、それなりの結果を残した。しかし、悔いの残る5位ではあった。駒大が11時間を切れなかっただけに、2位のチャンスは十分あったからだ。

退任する渡辺監督の花道を飾れなかった選手たちも、監督も、全日本駅伝のシード権が得られる3位を死守したかっただろう。しかし、予選会も、走る機会が1回増えてラッキーと前向きにとらえれば、新たな経験は貴重な勉強にもなる。

渡辺監督「ほんとうに、ご苦労さまでした」。監督を慕って早大の門を叩いた選手も多いだろう。「恩返し」は来年に持ち越されたが、選手たちは監督の指導を基礎にして、さらに高い高い峰を目指さなくては、青山に勝てない。

「人間到る処青山あり(にんげん、いたるところ、せいざんあり)」。内向きにならず、貪欲に他流試合に挑み、切磋琢磨の場を広げてほしい。

<1区>21.3キロ
●個人区間記録(以下、個人区間記録のみ)
1位 中村匠吾(駒大)1時間02分00秒
2位 久保田和真(青山学院)1時間02分01秒
3位 横手 健(明大)1時間02分07秒
11位 中村信一郎(スポ科3・高松工芸)1時間02分42秒

1-1

5位集団で京急蒲田駅前を通過する中村。自分の走りはできた。それでも、11位という「現実」に課題が見つかったはずだ。

<2区>23.1キロ

1位 服部勇馬(東洋大)1時間07分32秒
2位 村山紘太(城西大)1時間07分43秒
3位 一色恭志(青山学院)1時間07分45秒
6位 高田康暉(スポ科3・鹿児島実業)1時間08分17秒

1-2-2

前回とほぼ同タイム(今回が1秒速い)で、昨年は区間賞、今年は区間6位。来年はキャプテンとして、この区間を走るだろう高田にも、いい宿題が残された(保土ヶ谷)。

<3区>21.4キロ

1位 中谷圭佑(駒大)1時間02分40秒
2位 有村優樹(明大)1時間02分41秒
3位 井上大仁(山梨学院)1時間02分56秒
8位 井戸浩貴(商2・龍野高)1時間03分47秒

133

往路のカギを握っていた井戸は、背中に痛みを感じていたようで、イメージどおりの走りができなかった(平塚駅入口)。

<4区>18.5キロ

1位 田村和希(青山学院)54分28秒(区間新)
2位 工藤有生(駒大)54秒31(区間新)
3位 松井智靖(明大)55分00秒
9位 平 和真(スポ科2・豊川工業)56分31秒

1-4

3区で区間賞の駒大・中谷とは、前回大会、4区で区間賞を争ったが、今回は完調の中谷とようやく間に合った平とで明暗が分かれた(国府津駅前)。

<5区>23.2キロ

1位 神野大地(青山学院)1時間16分15秒(区間新)
2位 ダニエル・ムイバ・キトニー(日大)1時間18分45秒
3位 及川佑太(中央学院)1時間19分47秒
10位 山本修平(スポ科4・時習館)1時間21分45秒

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ここまでチームをけん引してきた山本には「おつかれさま」の一言だ。無念さは責任感の強い本人がいちばん感じているだろう(大平台のヘアピンカーブ。宇都宮市・益子さん提供)。

<6区>20.8キロ

1位 三浦雅裕(スポ科3・西脇工業)58分31秒
2位 村井 駿(青山学院)59分11秒
3位 西澤佳洋(駒大)59分21秒

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大会前から自信をもって区間賞を口にしていた三浦は想定どおりの快走で、早大に唯一の区間賞をもたらした(宮ノ下)。

<7区>21.3キロ

1位 小椋裕介(青山学院)1時間02分40秒
2位 西山雄介(駒大)1時間03分26秒
3位 服部弾馬(東洋大)1時間03分35秒
5位 武田凜太郎(スポ科2・早実)1時間04分09秒

2-7

長いブランクを感じさせなかった武田(二宮)。

<8区>21.4キロ

1位 高橋宗司(青山学院)1時間05分31秒
2位 大塚祥平(駒大)1時間05分45秒
3位 永井秀篤(中大)1時間05分47秒
7位 安井雄一(スポ科1・市立船橋)1時間06分05秒

初陣の安井は区間トップと34秒差なら十分合格点だ。しかし、同じ1年生の春日千速(佐久長聖→山梨学院)が5分台で走り、前日の4区では田村和希(西京高→青山学院)と工藤有生(世羅高→駒大)が区間新の走りをしたことは悔しい思いとして、胸に「突き刺して」いてほしい(この区間、写真撮れず、ごめんなさい)。

<9区>23.1キロ

1位 藤川拓也(青山学院)1時間08分04秒
2位 木村 慎(明大)1時間08分58秒
3位 其田健也(駒大)1時間09分25秒
4位 柳 利幸(教3・早大本庄)1時間09分32秒

2-9

長い距離では明大・木村(右)より柳のほうが力は上だと思っていたが、柳は競り負けてしまった(保土ヶ谷駅前)。

<10区>23.0キロ

1位 寺田博英(城西大)1時間10分01秒
2位 安藤悠哉(青山学院)1時間10分03秒
3位 兼子侑大(山梨学院)1時間10分09秒
7位 田口大貴(スポ科4・秋田高)1時間10分56秒

2-10

懸命に前を追う田口はちょっとばかり不完全燃焼だったか(北品川駅前)。

<総合成績>

1位 青山学院大学 10時間49分27秒(往路1位5時間23分58秒 復路1位5時間25分29秒)
2位 駒澤大学 11時間00分17秒(往路4位5時間31分23秒 復路5時間28分54秒)
3位 東洋大学 11時間01分22秒(往路3位5時間30分47秒 復路4位5時間30分35秒)
4位 明治大学 11時間01分57秒(往路2位5時間28分57秒 復路6位5時間33分00秒
5位 早稲田大学 11時間02分15秒(往路6位5時間33分02秒 復路3位5時間29分13秒)

 

 

 

2015-01-05