「会心のレース」と言っていいだろう。早大選手の弱点として、「競り合いに弱い」、「最後の押し上げができない」の2点がしばしば指摘される。しかし、「そんなことあらへんで」とばかりに、井戸浩貴が、「始め良し」、「中良し」、「終わり良し」の理想的なレースをして優勝した。これが駅伝の1区で再現できたら、あとの走者は楽だろうなと、つい思ったほどだ。
箱根駅伝初優勝で意気上がる青山学院は20人を越える選手が出場。11着までに7人が入るという「青学攻勢」の中で、井戸が負けられない相手は、当然、箱根出場組の安藤悠哉(10区区間2位)と田村和希(4区区間賞)だった。レースはその二人が引っ張った。中盤からは井戸が引っ張り、最後は井戸・安藤の一騎討ちになったが、残り1キロで井戸がスパートして安藤を振り切った。強い北風の影響で、62分台こそ出なかったものの、記録以上に強い勝ち方だった。
一方で、青山学院の「底上げ」が目立った。早大で二番目にゴールした石田康幸と井戸との間に、箱根不出場の青学選手が8人もいたのだ。早大の底上げが急務だと感じた大会でもあった。
序盤、まるで青学包囲網のような先頭集団に、早大では井戸だけがつく(1.5キロ)
1着 井戸浩貴(商2・龍野高)63分27秒
2着 安藤悠哉(青山学院)63分37秒
3着 林竜之介(東海大)63分59秒
4着 田村和希(青山学院)64分16秒
5着 渡邊 心(青山学院)64分27秒
22着 石田康幸(商1・浜松日体)65分15秒(自己新)
44着 佐藤 淳(スポ科2・愛知明和)66分33秒
71着 谷口耕一郎(スポ科1・福大大濠)67分43秒(自己新)
72着 柄本勲明(スポ科2・早大佐賀)67分44秒
76着 河合祐哉(スポ科1・時習館)67分56秒(自己新)
110着 藤澤怜欧(スポ科3・多摩高)69分52秒
20キロすぎ、井戸が安藤を一気に突き放す。
自己記録を更新したものの、石田にはもう少し前で勝負してほしかった。
ひと息入れた佐藤は調整不足か、重い走りだった。
終始、柄本についていた谷口。一度は引き離されたが、粘りに粘って、残り500mを切ってから逆襲、先着した。
柄本は、余裕のある走りに見えたが、終盤、伸びなかった。
粘りが身上の河合らしさは発揮したレースだった。
序盤から、レースの流れに乗れなかった藤澤。