朝一番で行われたハーフマラソンで、東洋大が2、3、5位を占め大量17点を獲得。ロードでの強さを見せつけた。午前9時スタートとはいえ、気温はすでに25℃近く、湿度も高く(63%)、ガマン比べのレースとなった。序盤、田口大貴、井戸浩貴、佐藤淳はともに先頭集団の中で、前に位置を取り、動きもよく見えた。しかし、8キロすぎに佐藤が集団から置いていかれ、12キロ過ぎには田口、井戸もついていけなくなった。それでも、井戸は終盤まで粘る気力を見せ、なんとか入賞を果たした。
5000mは、高温多湿のタフなコンデションにもかかわらず、10位までが13分台のフィニッシュというレベルの高いレースだった。
山梨学院・オムワンバ、明大・大六野などが、1キロ2分45秒の早いペースで押していき、中団にいた三浦雅裕が2200mで遅れ始め、上位で食い下がっていた山本修平も2700mで脱落。3400mでは中位で粘っていた光延誠にも逆転された。光延は慎重なレース運びをしたため、上位にこそ届かなかったが、粘り強い走りで、6人出場した1年生の中で、最先着した。
ところで──。
ポール・マッカートニーの日本での聖地は日本武道館だろう。ラグビーの聖地といえば秩父宮ラグビー場。そして、陸上競技の聖地は、間違いなく国立競技場だ。その聖地が2020東京オリンピックのために解体されるというのに、93回の歴史を誇る関東インカレが使用できないとは! アマチュアリズムがコマーシャリズムに駆逐されるなんて、おそらく織田ポールが泣いていただろう。熊谷、横浜と転戦を余儀なくされた大会運営にあたる関係者たちは大変だったろうし、最後の国立で走り、跳び、投げられなかった選手たちは、さぞかし残念だっただろう。
この大会の出場選手の中から東京オリンピックの日本代表が何人も出るはずだ。生まれ変わった国立競技場でこの無念を爆発させる活躍を期待したいと思う。国立競技場見学ツアーが好評で、多い日には7000人が参加したという。国立開催なら、最後に観客を含めて全員で「さよならラン」などを実施すれば、関東インカレは盛り上がったはずだと考えるとなんだか悔しい。
●ハーフマラソン
1位 井上大仁(山梨学院)64分07秒
2位 田口雅也(東洋大)64分10秒
3位 高久 龍(東洋大)64分23秒
4位 松村優樹(順大)64分56秒
5位 淀川弦太(東洋大)64分59秒
6位 佐藤孝哉(山梨学院)65分05秒
7位 井戸浩貴(商2・龍野高)65分13秒
8位 植木章文(大東大)65分20秒
12位 田口大貴(スポ科4・秋田高)66分25秒
20位 佐藤 淳(スポ科2・愛知明和)67分22秒
15キロ手前を8番手で通過する井戸は、前を行く植木(大東大)を終盤、引き離した。
12キロを前に先頭集団から遅れたた田口は、残り500mから2人を抜き、意地を見せた(右は明大・木村慎)。
佐藤は、序盤、積極的に前でレースをしたが、8キロあたりから、ペースが上がらなくなった。
●男子5000m
1位 エノック・オムワンバ(山梨学院)13分36秒96
2位 大六野秀畝(明大)13分44秒13
3位 ダニエル・ムイバ・キトニー(日大)13分44秒85
4位 八木沢元樹(明大)13分47秒19
5位 村山紘太(城西大)13分49秒04
6位 横手 健(明大)13分52秒63
7位 服部勇馬(東洋大)13分53秒33
8位 服部弾馬(東洋大)13分55秒47
9位 加藤 光(日体大)13分57秒54
10位 市田 孝(大東大)13分58秒31
12位 光延 誠(スポ科1・鳥栖工業)14分03秒78
21位 山本修平(スポ科4・時習館)14分23秒63
25位 三浦雅裕(スポ科3・西脇工業)14分31秒98
粘りに粘って自己ベスト(14分00秒61)に近いタイムでゴールする光延。
山本の調子がまだまだ上がってこないという印象のレースだった(前、日体大・山中秀仁)。
トラックでの結果がほしかった三浦だが、中盤までのレースに終わった(前は大東大・大隅裕介)