出雲、伊勢と一歩ずつだが確実に階段を上ってきた早稲田。上尾では、一歩ではなく、三歩も四歩も高みに上がってきた。選手たちも箱根の山がよく見えるようになっただろう。
気温15℃、風もほとんどなく、絶好のコンディションの中、序盤から積極的な走りを見せた高田、田口、田中がいずれも自己新の62分台を出して3、7、8位に入賞した(扉の写真)。各校のエース、準エースがそろったレースでの粘りは、これまで見られなかったことだ。1年生の井戸も最後まで上級生に食い下がり、63分を切るという初のハーフとは思えない力を発揮した。
箱根が見えてきたところで、もう一度、思い出そう。30の倍数の大会では(どういうわけか)早稲田が優勝することになっている(30回、60回大会優勝)。来春は90回大会になる!
●男子大学ハーフ
1位 市田 孝(大東文化大)62分36秒
2位 西池和人(法大)62分36秒
3位 高田康暉(スポ科2・鹿児島実業)62分38秒(自己新)
4位 矢野圭吾(日体大)62分38秒
5位 前野貴行(明大)62分45秒
6位 油布郁人(駒大)62分51秒
7位 田口大貴(スポ科3・秋田高)62分53秒(自己新)
8位 田中鴻佑(法4・洛南高)62分53秒(自己新)
9位 西山雄介(駒大)62分54秒
10位 服部弾馬(東洋大)62分54秒
15位 井戸浩貴(商1・龍野高)62分59秒(初記録)
24位 武田凜太郎(スポ科1・早実)63分28秒(初記録)
35位 平 和真(スポ科1・豊川工業)64分01秒(初記録)
50位 高橋広夢(スポ科3・東大附高)64分09秒(自己新)
66位 山田侑矢(スポ科3・伊勢高)64分23秒(自己新)
79位 臼田稔宏(基幹理工3・佐久長聖)64分35秒
89位 三井泰樹(人科2・山形東)64分43秒(初記録)
120位 相原将仁(教4・早実)65分09秒
154位 徳留 駿(法3・早大本庄)65分36秒(自己新)
337位 関口直人(商4・浦和高)69分07秒
右から、トップ3の市田、西池、高田。終盤は3人に加え、矢野、前野5人の首位争いになったが、最後は市田と西池が抜け出し、市田が胸一つの差で優勝。ラストにキレのある高田に有利な展開かと思われたが、けん制し合ってスローになったのが響いた。好記録を出したにもかかわらず、悔しそうな表情の高田には、まだまだ上昇の気配がうかがわれた。
「お帰りなさい!」。なんといっても心強いのは田口の復活だ。粘りだけでなく、油布を追いつめる気迫もみせた。
4年生が引っ張ればチームは強くなる。すっかり安定感を増した田中は、スタートから自信満々にレースを引っ張り、最後まで粘って自己記録を大幅に更新した。
残り1キロ。田中にしっかりつく井戸。同じ1年生の駒大・西山、東洋・服部とほぼ互角に渡り合ったのは、非常に明るい材料だ。
武田の記録も初めてのハーフとして堂々たるものだ。
中村も自己記録を大幅に上回ったが、他校選手と比較すれば、やはり30秒を切る記録がほしかった。
記録だけ見ればまずまずだ。しかし、伊勢の1年生組の後塵を拝したのは悔しいに違いない。距離の克服が箱根への課題になった。
63分台をわずかに逃した高橋。箱根のメンバー入りにもう一歩だ。
今季、トラックで記録を伸ばしてきた山田はロードでも記録を大きく更新。「箱根入り」を狙う。
やはり急仕上げが響いた臼田は不本意な結果に。
もう少し上を狙っていただろう三井には距離の課題が。
相原は調整なのか、ずいぶん軽い走りだった。
徳留は自己新とはいえ、満足できないほど好記録続出のレースだった。
関口は足が止まりながらも、必死にゴール目指す(残り800m)。
(混戦のため、選手を見つけるのが難しく、写真のバラツキご容赦)