第97回日本陸上競技選手権大会兼モスクワ世界陸上代表選考会(於:調布市味の素スタジアム)2日目(6月8日)、男子10000mに大迫傑が出場。中盤以降は上位を狙う選手たちのかけひきが始まり、緊迫感のあるレースとなった。しかし、終わってみれば、どんな動きにもまったく動じなかった佐藤と大迫が、昨年どおりのワンツーフィニッシュ。大迫ばかりでなく、学生選手が8位までに3人入るという健闘ぶりもレースを盛り上げた。なお、10日に発表された代表選手には、上位3選手が選出された。
(扉の写真は表彰台の大迫。周辺は押すな押すなの大騒ぎで近づけず)
●男子10000m決勝
1位 佐藤悠基(日清食品グループ)28分24秒94
2位 大迫 傑(スポ科4・佐久長聖)28分25秒84
3位 宇賀地強(コニカミノルタ)28分27秒00
4位 今井正人(トヨタ自動車九州)28分27秒69
5位 中村匠吾(駒大)28分27秒73
6位 圓井彰彦(マツダ)28分29秒36
7位 窪田 忍(駒大)28分31秒50
14位 阿久津圭司(SUBARU)29分09秒13
宇賀地が引っ張る8000mを5番手で通過。11人の集団だったこの時点では、今井正人(上下赤のユニフォーム)、大迫、佐藤に余裕があるように見えたが。
ラスト1周、昨年同様、宇賀地が大迫の動きを見ながらスパートの機会をうかがっていたが、バックストレートに入ると、大迫が飛び出し、逃げ切りを図った。
しかし、さすが佐藤、ホームストレートで大迫を一気に抜き去り代表内定。負けたとはいえ、大迫もA標準+3位以内の条件はクリア。そして、3位に入った宇賀地の毎度ながらの積極性と粘り強さには頭が下がる。
自分のレースをして敗れた大迫は、意外にサバサバした表情で観客の声援に気持ちよく応えていた。
OBの阿久津(2番手)は序盤から積極的なレース。岡本直己(先頭)、設楽悠太、柏原竜二などが落ちていく中、粘りの走りで中位のゴール。
●女子100mH
1位 紫村仁美(佐賀陸協)13秒02(大会新・自己新)
2位 木村文子(エディオン)13秒03(大会新)
ここからは、私事。大迫以上にうれしかったのが、紫村の優勝でした。100mHの世界記録は25年もの間、破られていないドンコワ(ブルガリア)の12秒21。私はソウル五輪のとき、たまたま空港であったドンコワにサインをもらい、大切にしまっておきました。しかし、日本人で最初に12秒台を出すのは紫村に違いないと、見ず知らずにもかかわらず、昨年のインカレ会場で、「必ず12秒台を出すお守りになります」と、強引にサインを手渡しました。その力も少しはあったのではないかと、「勝手に」想像して喜んでいます。ロンドン五輪代表の木村に勝ってB標準を突破したのですから、彼女も代表に選んでほしいですね。それにしても、実業団に入らず、教員をしながらいきなり好記録で木村に勝つとは、タダ者ではない!