第88回東京箱根間往復大学駅伝(1月2、3日)

じりじりと悔しさが滲み出てくる負けである。
東洋大の「できすぎ」という声もある。しかし、これだけ各校のレベルが上がり、力も拮抗してくると、「できすぎ」が「できる」チームでなければ勝つことは難しい。
今季、駒大や東洋大の選手がトラックで、そしてロードで、好記録を連発してきたことを考えると、昨年、早大が出した総合時間の新記録は大幅に更新されるだろうとは予想できた。だから、東洋大は、「できすぎ」ではなく、高いレベルまで「できあがっていた」ということにすぎず、勝つべくして勝ったのだ。

伊勢の後、早大が「2強」に勝つためには、選手一人ひとりが120%の力を発揮する必要があると書いた。また、最強世代といわれた4年生が牽引車となってチームを引き上げることも優勝の条件だっただろう。残念ながら、ふたつともクリアできなかった。そして、他校選手の成長力にも追いつけなかった。負けるべくして負けたのだ。松浦静山流にいえば、「負けに不思議の負けなし」である。

苦言を呈しているのではない。悔しいだけだ。
ただし、収穫もたくさんあった。
大迫が見せたクールな闘争心。山本、前田が見せたホットな闘争心。早稲田魂にも二通りあることを知らされた。佐々木も志方も復活ののろしを上げた。平賀の素軽い走りも戻ってきた。初の箱根で重要区間を任された西城と市川。結果は伴わなかったが、大きな財産を相続できた。その財産をどう生かしていくのか、「財テク」に注目だ。
いずれにせよ、各選手が1ランクいや2ランク上のレベルを目指し、そこに到達しない限り、ベスト3の確保すら困難だ。一進一退を繰り返すようでは、先を進む他校選手に追いつくことはできない。日進月歩、一日一歩、三日で三歩。選手たちの確実な成長を期待したい。

スピード(Speed)、スタミナ(Stamina)、ストレングス(Strength)。才色兼備ならぬ3S兼備を目標に!

●個人成績

<1区>

大迫 傑(スポ科2・佐久長聖)1時間02分03秒(区間賞)
2位 服部翔太(日体大)1時間02分26秒
3位 攪上宏光(駒大)1時間02分27秒

食らいつく日体大・服部翔太もあっさり振り切って、大迫は2年連続区間賞。

<2区>

平賀翔太(基幹理工3・佐久長聖)1時間08分47秒(区間5位)
1位 出岐雄大(青学大)1時間07分26秒
2位 設楽啓太(東洋大)1時間08分04秒
3位 村澤明伸(東海大)1時間08分14秒

腹痛が「痛かった」が、いい走りだった。

<3区>

矢澤 曜(教育4・多摩高)1時間03分34秒(区間6位)
1位 オンディバ・コスマス(山梨学院)1時間01分38秒(区間新)
2位 山本憲二(東洋大)1時間02分43秒
3位 藤本 拓(国士館)1時間03分08秒

矢澤は、夏以降、最後まで思い通りの走りができなかったのが悔やまれる。

<4区>

大串顕史(スポ科4・水戸一高)55分36秒(区間5位)
1位 田口雅也(東洋大)54分45秒
2位 八木沢元樹(明大)54分53秒
3位 久我和也(駒大)54分59秒

急きょ4区に回った大串は無難にまとめた。

<5区>

山本修平(スポ科1・時習館)1時間19分52秒(区間3位)
1位 柏原竜二(東洋大)1時間16分39秒(区間新)
2位 大江啓貴(明大)1時間19分34秒

さすがの気力を見せた山本(5区は間に合わず、小田原の食堂でテレビ画面を撮影)

<6区>

西城裕尭(スポ科3・早実)1時間00分54秒(区間15位)
1位 市川孝徳(東洋大)59分16秒
2位 佐藤達也(東農大)59分25秒
3位 代田修平(中大)59分34秒

ホロ苦デビューとなってしまった初駅伝の西城。来年がある!

<7区>

佐々木寛文(スポ科3・佐久長聖)1時間03分37秒(区間3位)
1位 設楽悠太(東洋大)1時間02分32秒(区間新)
2位 上野 渉(駒大)1時間03分29秒

区間新の設楽悠太には1分以上やられたが、好走の佐々木。

<8区>

志方文典(スポ科2・西脇工業)1時間05分23秒(区間2位)
1位 大津顕杜(東洋大)1時間04分12秒
3位 有村優樹(明大)1時間05分25秒

復路のカギを握っていたはずの志方だったが、その前に東洋とは決着がついてしまったのが残念だ。

<9区>

前田悠貴(スポ科3・小林高)1時間10分41秒(区間2位)
1位 窪田 忍(駒大)1時間09分06秒
3位 渡邉克則(帝京大)1時間10分57秒

駒大のエース窪田に食い下がる前田。最後は突き放されてしまった。

<10区>

市川宗一朗(スポ科3・岡崎高)1時間12分43秒(区間9位)
1位 斉藤貴志(東洋大)1時間09分45秒
2位 塩谷潤一(中大)1時間10分33秒
3位 小澤一真(順大)1時間10分57秒

初陣でのアンカーに緊張したのか、持てる力を十分に発揮できなかった市川。

走ってもらいたかった選手のひとり安永は声を張り上げて前田の応援に(保土ヶ谷駅)

2012-01-04