箱根のエントリーメンバーが発表された。市川宗一朗が初のメンバー入りを果たした。「努力」が勝ち取った喜ばしい結果だ。
早稲田、東洋、駒澤の優勝争いといわれる。しかし、早大の優位は揺るがない。ここ2年は、柏原の存在が大きく、早大は、すべての選手が120%の力を発揮しないと勝てない状況にあった。そこには、意識しなくとも気負いが生じる。落とし穴は、そこにあっただろう。
しかし、今年は違う。20%オフ、全員が、100%の力を出し切れば、勝てるはずだ。
東洋の3連覇と早稲田の3冠。どちらのプレッシャーが強いのか。いや、プレッシャーを感じたほうが負けだろう。プレッシャーに勝ち、自分に勝ち、相手にも勝つ……そんな、ひとりで3勝もすることはない。相手に勝つだけ!この1勝で十分だ。
これだけ駒がそろっていれば、小細工も奇策も弄することはない。正攻法で臨むことが王者の道──。
こんなにワクワクして新年を迎えさせてくれる、監督、コーチ、選手たちには大声で「感謝」のひとこと。あとは、みなさん、応援に全力を!
●矢澤 曜(教育3年・多摩高)
5000m:13分43秒84、10000m:28分45秒56、ハーフ:63分31秒(08上尾)
「信頼と安定」の走りで、3年連続1区に挑む(はずの)「不動の1番バッター」。どんなレースにも対応できるのが強みだ。
●大迫 傑(スポ科1年・佐久長聖)
5000m:13分47秒29、10000m:28分35秒75、ハーフ:61分47秒
夏合宿、世界ジュニアを経て、さらに大きく成長した。いまやエースといってもいい。1年生だが、フォームだけでなく、心にもブレのないのが強さの秘密。安心して、エース区間を任せられる。
●八木勇樹(スポ科3年・西脇工業)
5000m:13分43秒49、10000m:28分55秒24、ハーフ:63秒30(09丸亀)
竹澤の後継者としての期待が大きかっただけに、これまで、ブルペンエース的ないわれ方をしてきた。しかし、精神的にも安定してきた現在、心配は無用。今回の役割は、預金部長。能力全開で、たっぷりと貯金を増やすことが期待される。
●三田裕介(スポ科3年・豊川工業)
5000m:14分02秒44 10000m:29分15秒18 ハーフ:63分45秒
1年以上苦しんできたが、上尾でようやく復活を遂げた。ブランクが長かっただけに、区間新を出した4区を走るのが無難か。
●佐々木寛文(スポ科2年・佐久長聖)
5000m:14分04秒44、10000m:28分58秒47
今年、山登りを予定されていたものの、風邪のため本番は走れなかった。夏合宿から、出雲、伊勢と好調を持続。柏原の調子がどこまで上がっているのか不明だが、彼を脅かすだけの力は十分につけてきた。
●高野寛基(スポ科4年・佐久長聖)
5000m:14分09秒03、1000m:29分44秒18、ハーフ:63分25秒
春先は、走っても走っても結果がでないという大スランプに陥った。夏にBチームで走り込み、ようやく力を取り戻してきた。3年連続エントリーされながら、走ることができなかった無念を、爆発させるか。昨年の青梅では、下りに強いところを見せた。走法も、伝説のダウンヒルマン・谷口浩美に、似ていないこともない。
●志方文典(スポ科1年・西脇工業)
5000m:14分04秒77、10000m:28分38秒46、ハーフ:63秒20秒
出雲の経験を糧に、大学レベルでの勝負強さを身につけてきた。自在の走りができるようになったいま、流れは志方からつくられるのではないか。接戦になればなるほど、彼の力が重要になる。
●中島賢士(スポ科4年・白石高)
5000m:13分56秒84、10000m:29分13秒52、ハーフ:64分00秒(09上尾)
3年間、力を発揮できないままに終わった箱根。キャプテンとして挑む最後の舞台では、必ず結果を出すだろう。上尾で自信を取り戻した感がある。
●猪俣英希(スポ科4年・会津高)
5000m:14分08秒4、10000m:29分08秒04、ハーフ:63分24秒
一般入試の星が、いよいよ箱根デビュー。春先の学生ハーフから、コンスタントに走れるようになってきた。長い距離での信頼も高く、アンカーも含め復路のキーマン。
●平賀翔太(基幹理工1年・佐久長聖)
5000m:13分45秒83、10000m:28分41秒42、ハーフ:62分08秒
アンカーとして「頼もしすぎる」この男は、どんな展開になっても、不安のない走りができる。最後の切り札が他校を突き放す。
●前田悠貴(スポ科2年・小林高)
5000m:14分05秒00、10000m:29分08秒91、ハーフ:64分20秒
気力あふれる走りは、混戦でこそ生きてくる。距離にまだ不安があるものの力は十分。誰にも負けない闘志で、箱根デビューを目指す。
●北爪貴志(スポ科4年・早実)
5000m:14分17秒9、10000m:29分56秒4、ハーフ:65分42秒
今年は8区中盤まで、好タイムできていたが、終盤動けず、やや残念な結果に終わった。上尾は自己新とはいえ、まったく満足していない。最後の年、リベンジに燃える。
●萩原涼(スポ科2年・早実)
5000m:14分24秒89、10000m:29分37秒85、ハーフ:66分00秒
7区を走った箱根以降、練習を積みすぎ、体調を崩した。そのため、今期、調子が上がらず苦しんだ。12月にどこまで回復してきたか。出身中学の田奈中が神奈川県代表として、全国中学駅伝での初出場初優勝を狙っている。先輩として、負けられない。
●大串顕史(スポ科3年・水戸一高)
5000m:14分29秒38、10000m:29分38秒43、ハーフ:66分57秒
今年、4区デビューを果たした。結果はやや不本意だったかもしれない。いま、さらにスタミナをつけ、いぶし銀の走りで再び箱根に挑む。
●西城裕尭(スポ科2年・早実)
5000m:14分23秒3 ハーフ:66分14秒
中学時代から萩原とライバル同士。箱根デビューは萩原に先を越されたが、虎視眈々と10人入りを狙う。高校時代、クロカンで強いところを見せていたので、山の適性は十分。
●市川宗一朗(スポ科2年・岡崎高)
5000m:14分29秒85、10000m:30分06秒40
1年次は入試の影響もあり、あまり走れていなかったが、コツコツと練習を積み重ねメンバー入りを勝ち取った。上を目指している選手には大きな励みになるだろう。
ところで、早稲田には、7冠という空前の快挙が目の前にある。野球が秋のリーグ戦、明治神宮大会を制して2冠、駅伝がすでに2冠、ラグビーが対抗戦の1冠で、計5冠。残すは、箱根とラグビーの大学選手権。歴史的な瞬間は?
出雲駅伝の地元・島根県簸上酒造の純米吟醸「七冠馬」(7冠馬・シンボリルドルフに関係のある蔵元とか)。歴史的美酒は飲めるのだろうか?